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過剰なもの


買い物をすませて外に出た頃には、もう暗くなっていた。バスの時間を気にしながら、男は、歩

いていく。週末の街路は、人びとで混雑していた。前方には、華やかな電飾が見える。クリスマ

ス気分を盛り上げるためなのだろう。しかし、男が考えたのは、電気代のことであった。その

後、人の行き交う道路の上を歩いているうちに、男は、まったく関係のないことを考え始めた。

物事には、義務ではないが、あることをすればもっと良くなる場合がある。義務ではない以上、

それは、必要のないことである。けれど、時に、人は、そうしたことをしようとする。そんなことを

考えながら、男は、道行く人びとをぼんやり眺めた。その時、彼は祝祭という言葉を思い出し

た。もちろん、文字通りの祝祭ではない。様々なイメージが雑踏を歩く彼の脳裏に浮かんだ。
by aphorismes | 2008-11-30 22:40
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