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過去の響き


友人から薦められた海外のポピュラー・ソング。「どう思う?」と、その返答に窮することを避けた

いばかりに、それらの曲が収録されたCDを探すことになったのです。


見つけたのは、ベスト・アルバム。ダウンロードなど思いもよらなかった私は、海外からCDを直

接とり寄せてみたのでした。


先日、そのアルバムが届けられました。いくつかの曲を聴いているうち、途中で楽曲の調子が

変わることに気がつきました。シンセサイザーの音が大胆に導入された曲があり、アルバムの

調子を大きく変えているように思えたのです。


なるほど、当時としては最先端の技術を駆使した流行のサウンドだったのかもしれません。し

かし、現代からすると、斬新ではなく、かといって郷愁をかき立てるほど古くもない、そんな一

昔前の電子音に思えました。むしろ、飾り気のないギターを中心にした曲の方が、今なお新

鮮に感じられてくるのです。最先端のテクノロジーを個性的に使いこなすこと、これは難しいと

感じました。


しかし、違った視点から考えることもできるはずです。私たちは、時折、遠い過去に創造された

音楽を聴きます。しかし、その後に出現した様々な音や音楽に、私たちは接しています。そうし

た聴取体験や作品間の引用・参照関係を通して音を聴くのだとすれば、全く同じ音楽を聴い

たとしても、過去の人々と同じような仕方でそれを聴くことは難しいように思うのです。
by aphorismes | 2008-07-29 21:06
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