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月の相貌


ある日の夕刻、何気なく空を見上げると、細長い三日月が浮かんでいました。周囲に浮かぶ

紅い雲よりも、明るい三日月が不気味に見えたのは、それが不条理を主題とした絵画を想起

させるからであったからかもしれません。


その翌日。月のことはあまり意識していなかったのですが、屋外に出た時、三日月が視野に入

りました。前日より、やや幅が広がっており、形の上では和らいだ印象に変わりましたが、それ

は紅い色をしていました。ずっと昔、錆び付いたような色の月をみた記憶がありますが、この

日の月は透明感のある赤でした。


これらの出来事は特に深い意味はないように思われます。しかし、自然の風景という言葉か

ら、しばしば想起されるような感情とは異なる、ある種の不気味さを自然が喚起する例のよう

にも思われました。たとえば、都市の街路と自然の風景。このような対比では、ある種の三日

月がもつ独特の雰囲気を想像することは難しいような気がします。
by aphorismes | 2008-07-10 21:34
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