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朧月



にごり酒の底で満月が微かに輝いている。


先日、月を見たときには、思わずこんな情景を想像してしまいました。雲が月を完全に隠すわけ

でもなく、さりとて月がはっきり見えるわけでもない。薄っすらとした雲を通して月明かりが仄か

に射し込んでくる。そんな朧月の夜でした。


ぼうっとした光を放つ月の右下には、小高い丘と四角い建築物が見えました。実は、その裏に

はお墓が立ち並んでいるのです。以前、その近くの道を通った翌日、朝4時ぐらいに目が覚め

て幻覚を見たことがあります。暗い夜空と満月、そして小高い丘。全体として眺めると、どこか怪

奇小説の舞台を思わせもする、荘厳な雰囲気でした。


とはいうものの、雲と朧月だけを見ていると、はっきりしない形とぼんやりした明るさからなる不

思議な世界。こんな画風の作家さんがいるかもしれない、とまるで絵を眺めているかのような気

分になったのでした。
by aphorismes | 2007-09-03 21:35
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