カテゴリ:[資料集] 社会société( 27 )

街角の言葉

若者は不安定さを拒む。(3月28日、パリ、学生のプラカード)
La Jeunesse refuse la précarité. (Paris)

メディアは欺く。(3月29日、マルセイユ、男性のTシャツの裏に書かれた言葉。この男性の写真がルモンド紙のサイトで公開されたのは、自信ゆえでしょうか。ともあれ、CPE問題にかんするメディア批判の存在がうかがえます)
Les médias mentent. (Marseille)

参考
ルモンド

付記(4月3日)
ルモンド紙が読者からの批判を記した記事を載せていました。
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by aphorismes | 2006-03-31 19:22 | [資料集] 社会société

26歳という境界

26歳以下の若者を雇えば、2年間は理由を告げることなく解雇できるという初採用契約(CPE)に対して、労働法の専門家(ナンテール)がラジオでこんなことを語っていました。

「26歳以下の者とそれ以外の間に大きな差があることは正当なのでしょうか。正当化されざる平等性の破棄があると判断できるのです。」

« Est-ce que c’est justifié de faire une différence entre des moins 26 ans et les autres ? Il peut estimer qu’il y a ce qu’on appelle la rupture de l’ égalité non justifié. »(France inter Le journal de 9h00 du 30/03/06)


付記 (4月1日)
シラクの修正案
3月31日(金)、シラク大統領はテレビ放送された演説の中で初採用契約(CPE)に関する法律の公布を表明。同時に、修正案を提示しました。後者によると、第一に、二年の(試用)期間は一年に短縮される。第二に、雇用契約が破綻した場合、若年労働者がその理由を知る権利が新しい法律に盛り込まれる。第三に、修正案がもりこまれるまで、契約へのいかなる署名もなされないよう監視することを政府に求める。

形骸化した民主主義 La démocratie sans vie
公布という決断の理由の一つとして、国民の代表がいる国民議会での投票や憲法評議会でCPEが認められたことをシラクは語っています。民主主義は尊重されねばならないと。しかし、周知のように、3月に発表されたアンケートでは、68%のフランス人がこの法律の撤回を支持しており、反CPEのデモには100から300万人が参加。これを考慮すれば、民主主義を尊重するという名目でなされた今回の決断は、実質的には大部分の民意を代表していない。いわば民主主義の形骸化ないし限界を示すように思えます。

今後は、学生や労組の反応(4月4日にゼネストが予定されている)が気になります(詳細は不明ですが、3月31日、 CPE反対の高校生によってバスティーユ広場が占拠されたようです)。


付記(4月2日)
3月31日(金)にテレビ放送されたシラク大統領の演説に対して、62%のフランス人が納得していないそうです。
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by aphorismes | 2006-03-30 21:13 | [資料集] 社会société

招かれざる者

反CPE運動が社会現象として拡大するにつれ、それに便乗する破壊行為者がデモに紛れ込んでいるようです。暴力や窃盗などが許されないのに加え、反CPE運動やそのイメージにも破壊的な効果をもつという意味では、極めて残念に思います。リベラシオン紙参照.

付記(2007年5月23日)
冒頭の文で大意が伝わるため,引用文をとりました.
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by aphorismes | 2006-03-27 12:55 | [資料集] 社会société

理由なき解雇ーCPEについてー

理由を告げられない解雇
二年間の試用期間であれば理由を示すことなく、解雇できるとする「初(回)採用契約」(CPE : contrat premier embauche)。これは、3月初め*、フランスの国民議会と上院で可決された機会均等法 "Loi sur l'egalite de chances"に含まれていたものです(OVNIには日本語による簡潔な定義があります)。

*1月16日ドビルパン首相がCPEについて告知した直後から、学生組織や高校生の団体、既存の政党が批判を開始した経緯が下記のサイトでまとめられています。

ルモンドの年表

反対運動の広がり
政府側は、若者の失業対策の一環だと説明していますが、二年の間、不安のなかで働かされることになる若者は猛反発。ソルボンヌ大学のバリケード封鎖などは、日本のテレビニュースでも報道されていましたが、これらのバリケード封鎖はフランス各地の大学にも広がっています(3月10日頃、グルノーブルに住む知人のブログを見て講義が休講になっていることを知りました)。
 以前、オンライン版ルモンド紙のサイト上にあるフォーラムでは、68年5月革命を想いだすという書き込みがありました。「初回採用契約」の反対者は、高校生や親の世代、労働組合員などにも広がっているようです。


メディアの報道
 ルモンドなどのフランスのマスメディアを見ていると、各地の大学で行なわれるバリケード封鎖ないし、デモに関する話題が頻繁に取り上げられています(たとえば、3月23日の反CPEデモの参加者数はルモンド紙の報道では、警察によれば22万人、運動組織によれば45万人の規模でであったそうです)。もちろん、現状の報道も重要ですが、なぜ、「初採用契約CPE」が導入されるにいたったのか、他に選択肢はないのか、といった本質的な問題について解説した記事がなかなか見つかりません。読む側の問題もあると思いますが、全体として、デモなど、運動の後追いの記事が目立つという印象を持っています。ドビルパン首相と反CPE陣営との対話は物別れに終わったようですが、今後、どのように事態が推移するのでしょうか。

68年5月と2006年3月
 フランスの社会学者(François Dubet*)はインタビューの中で、2006年3月の反CPEの運動について、政治秩序にとっての危機をもたらしている点では、1968年5月革命と比較しうると述べています。他方、かつての学生運動は既存の社会や大学を批判し、新たな生き方を模索したのに対し、反CPEの運動は社会の中に場所を見出そうとしている。68年の若者は比較的恵まれており、未来への信頼があったが、現代の若者はそうした立場にはいない、という相違もある。全体として、運動の内実は、68年5月革命とは比較の対象にならない、との意見が印象的でした。

* Lutte étudiante (sous la dir. d'Alain Touraine, avec Z. Hegedus, M. Wieviorka), Ed. du Seuil, 1978.

日本の諸問題(Les problmès du Japon)
1968年と2006年との間を考えるという時間的な差もあるわけですが、フランスと日本という地理的な差も当然あります。フランスにおけるCPEの問題が当事者の解決すべき問題であることは言うまでもなく、私たちにとっての問題は、やはり、格差やニートなどといった言葉が流通する日本の諸問題を再考する、ということになるのだろうと思います(すぐに答えが見つかるものではないですが…)。今後、ニートについての議論を扱う予定です。
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by aphorismes | 2006-03-25 19:36 | [資料集] 社会société

いわゆるムハンマドの風刺画問題について 1

日本でも報道されているように、風刺画は、世界各地でデモ(ヨーロッパやイスラム圏のみならず、香港における5000人のデモも含む)をひきおこし、大問題となっているようです。また、2月13日には、イランの日刊紙Hamshahriがインターネット上で、「西洋における表現の自由の限界はどこにあるのか」と題し、ホロコーストの風刺画を掲載するなど新たな問題も生まれているようです(国際コンクールに関する説明が英語でなされています http://www.hamshahri.org/images/InternationalCartoonE.jpg)。進行中のできごとを展望するのは至難の技、というか不可能だと思うのですが、それでも重要な問題であるには違いない。ということで、以下では経緯の「ごく一部」をたどってみたいと思います。

2005年9月、デンマークの日刊紙”Jyllands-Posten”は、予言者に関する12の風刺画を掲載しました。その一つは、ターバンが、導火線に火がついた爆弾のように描かれているものです。これらの風刺画は、増大するムスリム組織の抗議にも関わらず、2006年1月ノルウェーのMagazinetによって再び掲載されます。風刺画を掲載するメディアのいい分は、表現の自由を守る、というものです。

その後、フランスのメディアにも、これらの風刺画が掲載されます。リベラシオン、ルモンド、クーリエ・アンテルナショナルは、一、二の例を掲載したのですが、フランス・ソワール とシャルリー・エブドが全ての風刺画を掲載した模様。また、オンライン版エクスプレスもまた、これらの風刺画を紹介しました。

2月11日、フランスのメディアでマホメットの風刺画が掲載されたことを否定するためのデモが、パリとストラスブールで行なわれました(パリでは7200人、ストラスブールでは2000人が参加)。断固とした発言とは対照的に、デモで掲げられたスローガンは穏健なものであったとルモンド紙は伝えています。「赤い線を越える時、あなた方はムスリム世界を目覚めさせるであろう」。その時、原理主義者であれ、イスラム主義者であれ、テロリストであれ、イスラム教徒たちを連帯させることになるのだ、と。テロを批判する風刺画が結果として何をもたらすのかを警告したのでしょうか。

また、『アサヒ・コム』によると、「在仏イスラム教評議会(CFCM)は10日、預言者ムハンマドの風刺漫画を掲載した仏紙を提訴することを決めた」。風刺画特集をしたシャルリー・エブドは今後どうなるのでしょうか。

“Un site Internet iranien publie une caricature de l'Holocauste en réponse à celles de Mahomet”, 13 February 2006, LEMONDE.FR, available from http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3214,36-740693,0.html, accessed 13 February 2006.

“En France, "Charlie Hebdo" veut "défendre la liberté d'expression"”, 11.February, 2006, LE MONDE, available from http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3458,36-740359@51-735567,0.html, accessed 11 February 2006.

「在仏イスラム団体が風刺画掲載紙を提訴へ」『アサヒ・コム』2006年2006年02月11日、インターネットホームページhttp://www.asahi.com/international/update/0211/007.html。アクセス2006年02月11日。
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by aphorismes | 2006-02-18 16:42 | [資料集] 社会société

監視システムの自己増殖と不信の連鎖

今回は本の紹介です。

昨年に出版された本の中で牧野二郎氏は、社員監視ツール流行の危うさを指摘しています。

極端な事例ですが、一種のスパイウェアを社員のパソコンに入れておけば、ネットワークに出

ない情報(パソコンの動作、どのキーがどの順番で押されたか[キーストローク])が管理者に

定期的に送られることも考えられる。より極端ではないケースにおいては、IDとパスワードに

よってネットワークに入り、パソコンをつかって仕事をする社員に関して、パソコンの利用状況、

情報やメールの送受信情報により、誰がどのようなアクセスをしているかを、ソフトウェアで監

視できる。弁護士である牧野氏によれば、「無断監視」はプライバシー侵害であり、「企業など

が無断で社員を監視するというのは、法的面から見ても違法性が高い」と述べています(ちな

みに、同書には、不合理な誓約書の強要についての言及もあります)。

著者によれば、監視システムの導入は、やがて監視システムそれ自体の監視を要請するよう

になり、その結果、監視システムが自己増殖する(つまりコストが増大する)可能性がある。さら

に、監視それ自体がうみだす不信感がはてしなく広がることにより、社員のモチベーションが

下がる。これらの可能性は、効率性の向上をめざしてなされる監視ツール導入の意図せぬ結

果と考えられるのかもしれません。

参考資料: 
牧野二郎『個人情報保護はこう変わる 逆発想の情報セキュリティ』岩波書店、2005年
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by aphorismes | 2006-01-22 15:26 | [資料集] 社会société

炎上する車、白熱する論争

0. 忘却されたもの
フランス郊外での反乱に関する前々回の投稿に引き続き、二つの記事を簡単に紹介します。現在入手可能な資料によると、昨年の大晦日から新年にかけてフランスでは425台の車が放火されたそうです。これらの状況について、内務省が資料を作成したのですが、それが早くも社会党から批判されたようです。昨年、内務相ニコラ・サルコジが騒乱に油を注いでしまったたため、内務省としては事態の鎮静化をアピールしたい。他方、社会党のスポークスマン(Julien Dray)としては事態が鎮静化していないことを示して責任を追求したいという構図なのかもしれません。フランスにおいて大晦日から新年にかけて車が放火されるという事態は今回に限ったことではないのですが、二つの記事にざっと目を通して印象に残ったのは政治家の対立と治安の問題です。反乱の構造的原因の分析や抜本的な解決策が中心的な主題とされていないのはちょっと残念な気がします。

参考文献
Polémique autour du bilan des incidents de la Saint-Sylvestre, LEMONDE.FR ,01.01.06(16h46):
http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3226,36-726235,0.html

付記(2007年5月26日)
記事の翻訳の部分を削除しました。
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by aphorismes | 2006-01-02 12:17 | [資料集] 社会société