花は散る


漠然と意識してはいたのですが、いつの頃からか、その木の下には白い花弁が散らばっているのでした。そ

の近くを通るときは、芝生の上に広がった無数の花弁を眺めつつ、まるで写真集の一ページのようだと思い

ながら、通り過ぎていたものでした。先日、ふと上を見上げると、枝のいたるところに、白い花がついていまし

た。なぜ今まで気がつかなかったのだろうと思いながら、私は数歩離れた地点から、その木の全体をしばら

く眺めました。近寄ることで見えるもの。離れることで見えてくるもの。そのいずれも、木と花と芝生からなる

風景です。ただ、すこし離れて見た花は、今、目にしている風景がすべてではないということを教えてくれ

ました。
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by aphorismes | 2009-05-04 14:45
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