樹木の記憶


ある場所を通り過ぎようとしたところ、陽光に照らされた緑の木々が目に飛び込んできました。快晴の日、木

の葉が生き生きとしていたことはいうまでもありません。それにもまして引き込まれたのは、空へとすっと両手

を広げている木の姿でした。淡い色の若葉たちを支える枝と幹がつくりだす空間的な広がりに、私はしばらく

見とれていました。と、その時、私は、以前にも、このようにして、この木を眺めたことを思い出しました。樹木

という特定の物によって喚起されたこの記憶は、一人の経験に関わる個人的な思い出でした。その庭はずっ

とそこにあり、私はいつも近くを通り過ぎていたのですが、そこに植えられた樹木に近づき、じっくりと眺めたの

は久しぶりのことでした。
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by aphorismes | 2009-05-01 23:56
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