プロの味


先日、ある喫茶店にいった時のことですが、棚にサイフォンが置かれていました。喫茶店によっ

てはコーヒー関連商品を売っている店も多々ありますので、さほど驚くことではありません。紙箱

には、サイフォンの写真が印刷されており、確か「プロの味」と書かれていました。動詞もなけ

れば主語もない、文になる以前の言葉にすぎません。しかし、見る者には、このサイフォンを使

えば、家庭でもプロの味が楽しめますよ、と語りかけてくるのです。もっとも、プロの味が出る

までには、サイフォンの練習が必要となるのは必至です。その意味では、やや誤解を招くので

すが、ただ「プロの味」と書かれているだけなので嘘ではないのです。このサイフォンを使って

練習すれば、家庭でもお店のような味が楽しめるかもしれませんよ、実はそんな主旨の言葉

であるのに、見る者が勝手に安易な想像をふくらませているだけなのかもしれないのです。し

かし、もし「練習すれば」と書き加えれば、難しいのだろうと思って見る側は買うのをやめてし

まうかもしれません。そんなこともあって「プロの味」という魅惑的な言葉だけが残されたのだ

ろうか、などと考えました。結局、私にとって、「プロの味」という言葉が意味したのは、味覚とは

違う領域の事柄だったようです。
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by aphorismes | 2009-02-03 23:08
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