冬の風景


街の中心に来たのは久しぶりだつた。昼飯でも食つてゐかう。彼は、ぶらり和食店の中に入つ

てゐつた。昼時なのに、他の客はゐなかつた。店内は、外から来た彼にとつても、寒く感じられ

た。別段、そんなことを口にしたわけでもなかつたが、店員が慌てて暖房機をつけてくれた。

すぐに暖かな空気が流れて来る。業務用暖房機の威力に彼は目を見張つた。店内の一方

は、小さな庭に面しており、硝子を通して外の風景が垣間見える。窓の向こうでは、ぼた雪が

降りしきつてゐる。部屋の中では暖房機の微かな音が響く。それでも彼は静かだと感じた。暖

かい部屋の中で、窓から雪を見てゐると、心が落ち着くやうな気がするのだつた。
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by aphorismes | 2009-01-14 18:14
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