ドア


やっと辿り着いたジャズ喫茶。小さな階段を上ってドアを開けると中は満員、音楽と人声からな

る大音響が耳を直撃した。この場合、ドアを開けることは、静けさから賑やかさの中に移動する

ことである。これとは逆に、盛り上がっている場所を離れて静かな外に移動することが、空しさ

を感じさせることがある。ドアを通じた場所の移動も様々な意味をもつわけだが、自動的に開

いてしまうドアは、時に、戸惑いのもととなる。エレベーターの中に一人でいる時、人は、素の

自分に戻る。ぼんやりしながら、髪の毛をいじったりしていると、不意にドアが開き、驚いた顔の

まま他人と目があったりすることがある。ドアは、違う状況をつなげ、予期せぬ状況に人を投げ

入れる。そんな時に感じる戸惑いや驚きは、他人向けの振る舞いと他人向けではない振る舞

いの違いを照らし出している。
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by aphorismes | 2008-12-12 22:04
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