大昔に買った本を何気なく眺めていると、廃墟の写真が論じられていました。長い年月を経た後 でその文章を読むと、この本を買った頃、書店で廃墟の写真集に出会ったことを思い出します。 そういえば、当時、駅からすこし離れた場所に荒廃した大きな建物がありました。その建物は、 そのままの状態でしばらく放置されていたように思います。日常の平穏な風景のなかに巨大な 廃墟が放置されていることの不可解さ。効用を失った巨大な残骸は私に問いを投げかけている かのようでした。 巨大なコンクリートの壁は斜めに崩れ、所々、鉄骨が剥き出しになっていたように思います。周 囲の建物には別段、異常はありませんでしたから、地震や暴風雨等によって崩落したのではな く、意図的に解体されたものと思われます。 昔は、その外観から、人工的なものの儚さを連想したような気がします。しかし、それが当ては まるのは、建造物が自然の作用によって崩落した場合でしょう。むしろ、その残骸は、人工的に 建てられたものが人工的に破壊された帰結でした。雨ざらしのまま放置されていたのは、偶然 の要素を孕んだ人工の極みだった、というのはいいすぎでしょうか。
by aphorismes
| 2007-12-14 22:13
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本の中の気になる一節。下手の横好きで撮った写真。古いものに惹かれるのですが、ひょんなことから、このページをたち上げました。
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