人気ブログランキング | 話題のタグを見る

秋の蛇玉


緑の葉が美しい植え込みの木々。

近くづくと、小さな木の実がびっしりと枝についているのがわかりました。

赤や黒、そして緑の実など、同じ木の枝に多様な色の木の実がついています。

しかし、裕太はあえて日記にそのことを書こうとはしませんでした。

心を動かされることが少なくなっていたのです。


そんなある日、裕太のもとに四角い箱が届けられました。

びりりという音を立てながらテープを剥がし、裕太は箱を開けました。

そこには枯葉と同じ色をしたものが詰められていました。


するするするする。

裕太は、その何かを引っ張り出します。

どんどんとそれは伸びていきます。

長い長い長いもの。


気がつくと、その何かは箱よりも大きくなっていました。

裕太は箱を閉じました。

しかし、それはとぐろを巻いたまま部屋の中でじっとしているのでした。
by aphorismes | 2007-11-17 20:26
<< 待ち合わせ 卓球場の思い出 >>