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中庭・緑の街灯


昔、私の住んでいた街にあった商店街の喫茶店。その前を何度も通り過ぎてはみたものの、正

面から中の様子は一向に分からないのでした。試しに入ると店内はあまりに仄暗く、書類を読

めるような場所ではありません。そんな仄暗い店内の一角に、明かりで照らされた一坪ほどの

中庭がありました。木だったか、竹だったかの枝が数本、そこに植えられています。コーヒーを

飲みながらガラス越しに眺められるようになっていたのでした。


そういえば、庭に面した喫茶店に行ったことを思い出します。ガイドブックで見つけた都心のお

店。旅のついでに立ち寄りました。大きな公園に隣接しており、店内からは、林立する樹木を眺

めることができるのでした。公園の木々であるせいか、あまり手入れされていませんでしたが、

野性味を愉む人には良いのかもしれません。


最近、中庭のある喫茶店で本を読んでいた時のこと。気がつけば、あたりはすっかり暗くなって

いるのでした。ふと窓の外を眺めてみると、いつものように中庭の木々が見えました。そして、木

の枝の先に丸い電球の明かりがともっているのに気がつきました。


店内の電球が窓ガラスに反射しているのでした。仄暗くなった中庭にある木々の枝。その先に

ぶら下がった丸くて明るい電球を見ていると、猫や子供が登場する童話の世界に入り込んでし

まったような、そんな気がしてくるのでした。
by aphorismes | 2007-10-22 22:34
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