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「にゃあ」

どこからともなく猫の声がしました。夕暮れ時でした。その時わたしは、弁当を買うために散歩し

ていた最中でした。声のする方を見回してみると、植込みに猫が隠れているのがわかりました。

こちらの顔を見ながら再び「にゃあ」と鳴いています。


数ヶ月前のこと。曲がりくねった道の脇に置かれたベンチで休憩するようになってから、時折、

野良猫がくることに気がつきました。黒い猫と白い猫。こちらが近づくと、走り去っていくのです。

そんなこともあり、ベンチの近くに行く時は、邪魔にならないよう気をつけるようにしていました。


植込みから「にゃあ」という声が聴こえてきたのは、そんな出来事の後でした。猫に手を振って

みたものの、猫は植込みから出てくることもなく、押し黙ってしまいました。私の方も、近づき過

ぎたことがわかり、その場を立ち去りました。それでも、「にゃあ」という声が聞えた時は、なぜか

声をかけてもらったような気がしたのでした。
by aphorismes | 2007-10-22 22:30
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