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看板の風景


ホテルの受付。隣の人が地図の説明をしてもらっています。夜9時頃、遅いチェックインをして

いた時のことでした。そういえば、ネットで見やすい地図が見つからなかったことを思い出しま

す。私も地図をもらい、街に向かって歩き出しました。


ここは、小説の舞台になった街。少しでも街を歩いてみたいと思ったのはその影響だったのか

もしれません。現代風の建築や教会などを眺めながら、私は歩き続けました。しばらくすると、

商店街の入り口が見えました。


中に入ると、ほとんどのお店が閉まっていました。シャッターや看板に記されたお店の名前を眺

めながら、商店街を歩きます。人影はまばらでした。時折、ストリート・ミュージシャンが演奏し

ていましたが、周囲に人はいませんでした。きっと時間のせいなのでしょう。


疲れを感じ始めた頃、商店街の出口にたどり着きました。これでやっと気持ちを切り替えられま

す。方向転換して、もと来た方に向かいました。しかし、今度は、脇道を注視しながら歩くことに

します。


シャッター街と化したかのような夜の商店街。それでも明るく照らされています。脇道に目を逸ら

すと、薄暗い路地裏が見えます。表通りをいく人々にお店の存在を告げようとする看板たち。毛

筆を真似た文字の看板。ぼんやりと照らされた夜の路地裏。心のなかで、私は、カメラのシャ

ッターを幾度も切っていました。
by aphorismes | 2007-10-01 22:51
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