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いつもの話題


先日、懐かしい友達からのメールが舞い込みました。しばらく、忙しかったので返事を出すのは遅れました

が、メールを読んだあと、音楽について話していたとき盛り上がったことなどが思い出されてくるのでした。当

時は、結構、けんかなどもしていたのですが、数年たった今となっては、懐かしい思い出です。そんなことを

考えていると、やはり、この思い出は、純粋に個人的なものではなくて、他人と関わる思い出であり、他人に

よって想起が促され、活性化される思い出なのだ、などといつものように考えたというわけです。
# by aphorismes | 2009-06-01 20:59

呼吸する夜


目が覚めて、がばっと起きだし、すこし散歩をしてみると、さわさわという、微かな木々の音などが、あちらこち

らで聞こえてきたのです。強風により、傾いでいる木の大きな音とはかなり違った音でした。もし仮に朝の散

歩で印象的であるものが、鳥のさえずりだとすれば、夜の散歩のなかでは、きっとこの木の音が印象の中心

なのでしょう。そう考えてみると、こんどは逆に、さわさわという木の音が鳥のさえずりのようなものとして感じ

られ、あれは、木々のうめき声なのだ、と妙にリアルに感じられてくるのでした。そんなことを考えながら、木

を見上げると、背後には小さな星の数々が瞬いておりました。こんな星をみたのは久しぶりでした。
# by aphorismes | 2009-05-30 00:18

ないものの音


風の音より、木の音の方がよく聞こえる、と、そんなことを考えて戻ったわたくしは、部屋の中にピューピュー

という風の音が響いているのに気がつきました。屋内と屋外とでは、聞こえる音が違うのでした。翌日の夜、

そんなことを感じた窓の近くにやってくると、遠くから、電車の音や車の音が聞こえてきました。近くにあるも

のは寡黙のままで、そこにはないものの音の方が、部屋に響きわたっていました。
# by aphorismes | 2009-05-29 00:15

いつもと違う日


以前、暗い夜道を歩いていると、かすかに虫の鳴き声が聴こえてきて、はやくも夏のことを考えたことがあり

ました。場合によっては、そんな虫の声を遮るように、雨が降り、風が吹く日もあるでしょう。こんな夜に聴こ

えてくるのは木の声です。ざわざわ。ざわざわ。と、いつもとは全く違う表情の木が現れます。ときに風の声も

聴こえてくるのですが、風に吹かれて傾ぐ木の声や姿の方が印象的であるような気がします。
# by aphorismes | 2009-05-28 00:01

溶解人間


ずっと昔に、奇妙な写真をみたことがありました。ある人物の体には色が塗られています。彼の体は、たし

か、背後にある木と同じ茶色に塗られていました。その人物は、風景に溶け込むことによって、むしろ風景か

ら浮き出ていました。そのような彩色を施すには、きわめて意図的で、周到な作業が必要であったことでしょ

う。しかし、写真を見る人にとって、その写真は、自分の体を無化してしまい、風景そのものになるという、そ

んな奇妙な衝動を、喚起するものでした。人工的な技術を契機として、自然に溶融したいという感情が喚起

される。では、そのような体験は、文章では可能でしょうか。書き手の意識が、あるいは、読み手の意識が消

えてしまう、そんな奇妙な文章は。
# by aphorismes | 2009-05-26 20:50